離婚後の爆弾?知っておくべき連帯債務・連帯保証という落とし穴

2018年12月14日(金)

住宅ローンを利用する際、配偶者の連帯保証人になるという方も多いでしょう。
滞りなく返済が行われているなら問題ありませんが、そうでない場合、保証人がその義務を果たす必要があります。問題なのは、離婚しても連帯保証人や連帯債務者をやめることができないという点です。
夫婦関係が破綻しても、契約はそのまま。この点をきちんと押さえておかないと、離婚後に大変な問題を抱えることにもなりかねません。そこで、ここでは改めて「連帯債務」「連帯保証」の仕組みや、気をつけるべきポイントについてお伝えしていきます。

連帯債務と連帯保証

どちらも住宅ローンの保証人という役割です。保証会社を利用するケースも多いですが、

  • ・夫婦でペアローンを組む
  • ・共有名義で登記する
  • ・親名義の土地に家を建てる

といった場合には連帯債務者もしくは連帯保証人が必要となります。
それぞれの違いをみてみましょう。

連帯保証人

「借り入れをする本人が返済できなくなった際に、その責任を負う」ことを保証といいます。
連帯保証人とは、「借り入れする債務者を保証する人」を指し、返済が滞れば代わりに返済をする義務を負っています。
「催告の抗弁権」はなく、債務者に支払い能力があっても督促するよう抗議することもできません。
連帯保証人は、名義人と同じく返済の義務があるため、軽い気持ちで判を押すと後々大きな問題になるため、注意が必要。
さらに、重い責任があるにも関わらず、ローンの控除は1人分のみで、所有権は債務者のみ、団信に加入できるのは債務者のみなど、有利なことは1つもありませんが、返済が滞ると一括での返済を迫られる場合もあるなど、かなり損な役回りです。
専業主婦やパートタイマーなど、住宅ローンの審査をクリアできない方でも連帯保証人になれてしまう、というのも注意しておくべきポイント。
知らない間に連帯保証人となっているケースも多く、離婚する際には必ず確認しておくことをオススメします。

  • ・普段は支払いの義務はない
  • ・支払いが滞った際に請求される
  • ・債務者に支払い能力があっても請求される
  • ・収入が不安定でもなれる
  • ・ローンの控除は1人分
  • ・団信の加入は債務者のみ

連帯債務者

契約は1つに対して夫・妻ともに住宅ローンの契約を行うため、それぞれ返済義務が発生する方法です。
契約が1つということで、諸費用も1件分。借り入れが1000万円なら、金融機関は夫・妻のどちらにも1000万円を請求する権利があるという特徴があります。
ペアローンの場合は夫婦がそれぞれ契約するため、契約は2つ必要で諸費用も2件分発生。また、それぞれ借り入れた分だけ支払いの義務があります。住宅を購入するための資金が1000万円で、夫は600万円、妻は400万円借り入れた場合、それ以上の請求はないのが大きな違いです。ローンの控除は2人分、所有権はそれぞれが持つことができ、借入額も収入を合算できるのでワンランク上の物件も狙うことができるなどメリットも多い方法です。
ただし、出産などで妻の収入がなくなった場合、妻分の控除ができない、夫の収入で返済を補うと贈与税に当たるといった問題点もみられるため慎重に検討する必要があります。

  • ・手数料はお得
  • ・借り入れ全体に支払い義務がある
  • ・ローンの控除は2人分
  • ・団信は2人分だか割合が決まっている場合も
  • ・妻の返済計画を入念に練る必要がある
  • ・どちらかの支払いが滞れば、もう一方が請求される

離婚後の影響とは

どちらも支払いをしてくれているなら、問題はありません。ですが、人生は山あり谷あり。体調不良などで収入が減ってしまうことも考えられます。
また、引越して新しい家を維持するために費用がかさむ、住まないことで支払いがバカバカしく感じるようになるなど、住宅を離れることで発生するリスクも大いにあるでしょう。

連帯保証人

  • ・債務者が自己破産した場合は連帯保証人が支払う
  • ・債権者が滞納した場合は連帯保証人が支払う
  • ・債務者が死亡して団信に加入していない場合は連帯保証人が支払う
  • ・債務者が失踪した場合は連帯保証人が支払う
  • ・任意売却には債務者の承諾が必要
  • ・金融機関ではなく債権回収会社との交渉が必要な場合も

連帯保証人は、借り入れしている債務者と同じ責任を負っています。そのため、債務者が支払いをしていない、自己破産して債務を放棄した場合には代わって返済しなければなりません。
銀行などの債権者が連帯保証人に対して返済を要請した場合、断る権利はないだけでなく、債務者本人に請求するよう交渉することも不可と条件はかなり厳しいといえるでしょう。
一般的には1~2回の滞納では保証人に要請がくることはなく、競売が決定して通知がくるというケースも多くみられます。
督促状など支払い要請は債務者本人に通知するため、保証人が事実を知るのは手遅れになってから。もちろん、延滞金もかかります。さらに、これまで通りの返済を引き継ぐのではなく、一括返済が求められます。これは「期限の利益を損失」といって住宅ローンのルールを破ったペナルティによるものです。
一括で支払える資産があれば問題はありませんが、そうでない場合は売却して返済を行います。「競売」となった場合、市場価値の7割程度の価格で売却され、残債は連帯保証人が引き続き支払うこととなります。
もちろん、引越し少しでも残債を減らしたい場合は、市場価格と同等の価格で売却が可能な「任意売却」がオススメ!ですが、債務者イコール物件の名義人であり、承諾がないと売却はできないというデメリットがあります。そのため、失踪している場合や、故意に連絡を取らないといった場合には、利用できません。
また、競売まで進むと債権者は融資を受けた金融機関ではなく、要請を受けた債権回収会社が窓口になります。その後の返済方法や金額を相談する必要がありますが、柔軟な対応が期待できる場合もあるので、恐れず事情を説明しましょう。

連帯債務者

  • ・相手が自己破産した場合は連帯債務者が支払う
  • ・相手が滞納した場合は連帯債務者が支払う
  • ・相手が失踪した場合は連帯債務者が支払う
  • ・任意売却には相手の承諾が必要
  • ・金融機関ではなく債権回収会社との交渉が必要な場合も

連帯保証人と同様にある日突然、一括での督促がやってくる可能性もあります。これを防ぐ方法として、相手の支払い分を立て替えた場合、請求できるという旨を公正証書で作成しておくというのも有効です。
ですが、相手が自己破産や失踪している場合などは請求は難しいでしょう。

離婚時にスッキリさせるのが最善の策

離婚時にはいくつもの問題があり、じっくりと住宅ローンの行方について話し合う機会を設けるのは難しいかもしれません。
ですが、連帯債務と連帯保証になっているのであれば、相手の出方次第で大きな負債を抱え、住宅をでなければならないリスクを抱えて生きるも同然。
いつ爆発するか分からない時限爆弾を放置するのと同じです。また、離婚後、新しい生活が始まると、話し合う時間が取れないという点も。
そのため、できるだけ離婚時に解決しておくことをオススメします。
ですが、どちらも簡単に解決する問題ではありません。ここで解決方法について確認しておきましょう。

連帯保証人

住宅ローンの借り換え

金融機関では離婚などの個人的な事由は考慮されることはありません。連帯保証人として契約してしまったら、何があっても基本的には解除することは許されないでしょう。
住宅を売却して清算するのが一番簡単ですが、残したい場合やオーバーローンで売却ができない場合は、連帯保証人が不要なローンに借り換えを行うという方法もあります。
まずは、融資を受けた金融機関に相談し、可能性を探ってみましょう。

代わりの保証人

住宅ローンをそのままに、連帯保証人を変更するという方法もあります。
ですが、代わりの保証人としてふさわしいのは、大手メーカーに勤務しているなど安定した収入がある方。
代わりを引き受けてくれる方を見つけるのは大変であるだけでなく、審査もパスしなければならないため、こちらも茨の道です。

完済

住宅ローンが完済してしまえば債務もなくなるため、保証人は不要!円満に解除することができます。
残債を調べて貯蓄で完済できるかチェックしてみましょう。もし、難しい場合は売却額と貯蓄で賄うことができないかも、合わせて確認しておくことが大切です。

連帯債務者

こちらも連帯保証人と同じく、離婚は考慮されません。
そのため、解除するには「住宅ローンの借り換え」「代わりの連帯債務者」「完済」の3つの方法の中から選ぶことになります。
やはり、借り換えや代わりの連帯債務者を探すのは難しいため、完済を目指すのが一番の近道です。

相談できる場所

ローン問題は複雑で、知識や経験がなければ足元をすくわれてしまう可能性もあります。
できれば、専門家に相談し、最善の策を探るというのも大切です。

金融機関

銀行など融資を担当してくれた金融機関は、できるだけトラブルを避けたいと考えており、債務者の状況に応じて相談に応じてくれる場合!問題が発生した場合は一番に相談することで、粘り強く交渉することで道が開ける可能性があります。

弁護士

離婚時の諸問題はもちろん、連帯保証人や連帯債務者についても助言を求めてみるのもいいでしょう。
ただし、弁護士にも専門分野があり、得意とする弁護士でなければ有益な助言を得られない可能性があります。
知り合いなどツテがない場合は、法テラスや30分の相談から始めてみることをおすすめします。

公正役場

専門家立ち会いのもと「差し押さえ」も可能な強制力のある契約書を作成することができる公正役場も、離婚時には強い味方です。相手の支払い分を立て替えた場合、損害を受けた費用を請求できるという旨を入れておくと、トラブルがあった際にも解決しやすいでしょう。
ですが、失踪などで連絡が取れなくなった場合、効力を発揮できない可能性もあります。

不動産業者

不動産の専門家であり、売却時には大きな戦力となります。不動産業者にも専門分野があるため、住宅のタイプや地域によって選ぶことが大切です。
特に旗竿地や再建築不可物件など特殊な住宅の場合、不動産業者選びが大きく状況を左右することになります。

まとめ

連帯債務者も連帯保証人も、円満な夫婦関係を築けている間は便利な制度です。
ですが、離婚となってしまえば危険な時限爆弾のように危険。
できるだけ、話し合いができるうちに解決を目指すことをおすすめします。2人だけでは行き詰まってしまう場合は、専門家を頼りプロの意見を取り入れ、冷静に話し合えるよう工夫も必要です。

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