メリットが一転!住宅ローンにまつわる離婚と共有名義の怖いお話

2018年12月13日(木)

日本で初めて共働き世帯が専業主婦世帯を越えたのは1993年頃。しばらくは拮抗していましたが、2000年以降は安定して増加しています。
それに伴い、住宅を共同で購入する共同名義を選択する家庭も急増しており、社会のモデルが大きく変化しました。
そんな共同名義、増えるだけあってメリットも多く用意されていますが、一旦離婚となれば面倒の種になることも忘れてはいけません。 今回は知っておきたい共同名義のメリットと、離婚に伴うデメリットについて詳しくお伝えしていきます。

共有名義のメリット

メリット1・それぞれが控除を受けられる

住宅ローンを組んだ際は、翌年の税金が優遇される「住宅ローン控除」を受けることができます。
単独名義であれば1人分ですが、共同名義であれば2人分受けることができお得です。
控除されるのは、年末時点の住宅ローン残高の1%であり、これが10年間に渡り所得税から控除されます。
単独の場合、上限に引っかかってしまう場合も多々ありますが、2人に分割することでメリットをしっかりと享受することができるようになる点も見逃せません。
もし、売却することになっても、譲渡益にかかる税金を2人とも「3,000万円の特別控除」の対象となり、ローン後の節税対策としても有効です。

メリット2・相続税もお得

夫婦の一方が死亡した場合にもう一方が家を相続する際は、故人が100%名義人であれば一軒分丸ごと相続税の課税対象になります。
ですが、共同名義であれば故人が所有している分についてのみ。とはいえ、すでに配偶者を対象とした税額軽減制度「配偶者控除」の3,000万円控除もあるため、一般的な住宅の場合はそれほど大きなメリットとは言えないでしょう。

メリット3・安心感

共働きで家計を維持しているのに、住宅ローンの名義人でないために不動産の権利が全くないというのは不安ではありませんか?
名義人でなければ、こっそり売却されてしまうなど、思わぬ事態に巻き込まれることもないとはいえません。
また、お互いにしっかりとローンを返していこうという自覚が芽生えるというのもメリットといえるでしょう。

離婚と共有名義

お互いに助け合い、住宅ローンを返済している間は強い味方となってくれる共同名義ですが、離婚の際には一転して足かせになってしまうケースもみられます。

売却にはお互いの承諾が必要

共有名義の場合、1つの不動産ですが、名義人は2人といった状態です。
売却する場合は、個人の持ち分だけを販売することもできますが、一般の物件よりも自由度が低いため市場価値と比べて評価額は低くなりがちです。
お互いが売却を了承しなければ、大幅な損失を出してしまう可能性があることは忘れてはいけません。
また、専門に取り扱っている不動産業者でなければ敬遠される場合も多く、売却先を探すだけでも骨が折れることでしょう。

亡くなった場合

共有名義のまま放置し、お相手が亡くなった場合、手続きが複雑になります。
すでに配偶者でないため、控除などはなくお得に取得することはできません。
また、相続した相手と売却に合意するかも保証されておらず、行き先は大変不透明です。

差し押さえは突然に

お互いにローンを支払い、返済後に売却すると合意している場合には大きなトラブルとは無縁と安心しがちです。
しかし、実際に住んでいない物件のローンを支払い続けるのは思っているよりも、大きな負担となります。
ついつい、支払いを滞らせてしまう方も多く、競売になってしまうケースも少なくありません。督促状などの通知は、滞納している本人に郵送されるため、もう一方の名義人や住んでいる方は、競売の通知を受け取って初めて知るという場合も!ある日突然、財産を失い、引越し先を探さなければならなくなる可能性もあるのです。

賃貸は不可

「売却ができないなら、賃貸物件として貸し出せばいいのでは?」とお考えの方も多いでしょう。
ですが、こちらも不可。
通常の住宅ローンを組んでいる物件は、賃貸として貸し出すことを禁止しています。
住宅ローンの名義人が住むための住宅を取得するための貸付であり、収益目的の場合は専用のローンに借り換えしなければなりません。また、条件によっては審査が通らない可能性もあるため、よく検討することをおすすめします。

共有名義と共同持分

名義は不動産の所有者であることを表すもので、登記簿に記載される名前です。
単独名義であれば、その物件は1人で所有しているということを指し、共有名義であれば複数の所有者がいることを示します。住宅ローンを組む場合は、その名義人が物件の名義人として登記されるため、ペアローンであれば必然的に共同名義となります。
通常、出資した割合に応じて名義の割合も分けることができます。
これを共有持分と呼び、共同ローンでなくても、頭金を出資した場合にも適用されます。一方が全額出資する場合も、名義を分けることができますが、税務署によっては夫婦間の贈与として贈与税を請求されることもあるため注意が必要です。

例)
3000万円の物件で、夫の出資が2000万円、妻の出資が1000万円の場合→夫の名義:3分の2、妻の名義:3分の1
4000万円の物件で、夫の出資が3000万円、妻は頭金の1000万円の場合→夫の名義:75%、妻の名義:25%

住宅ローンが残っている場合の解決法

住宅ローンが残っている場合、市場価値が高く残債よりも高い価格で売却できる場合は解決は簡単です。
売却した額から住宅ローンの残債を引いた額を2人で分ければ遺恨は残らないでしょう。ですが、残債が市場価値を下回るオーバーローンの場合、売却で解決するのは難しいでしょう。

金融機関が渋る

オーバーローンの場合、売却したとしても残債が残り、残った分は一括返済を求められるのが一般的です。ローンを組める場合もありますが、取扱は金融機関によって異なるため、絶対とはいえません。
少額である場合や、返済できるだけの貯蓄がある場合は問題ありませんが、多くの場合はオーバーローンがネックとなります。

名義変更も不可

ペアローンの名義人が、そのまま登記簿の名義人になることは前述の通りです。
「売却ができないなら名義変更を!」とお考えかもしれませんが、こちらも不可。
完済する前の名義変更は金融機関からの許しが出ることはありません。金融機関の意見を聞かず、独断で変更することは可能です。しかし、そのことが発覚した場合、残債の一括返済を求められるため、オススメではできません。

できるだけ離婚時に解決を

「夫婦である」という条件で共同名義は、取得時にも相続時にもメリットが大きく魅力的な条件です。
ですが、一度離婚してしまえば、大きな財産を他人と共有する行為であり、相手の出方によって大きなトラブルとなることも考えられます。
特に、浮気など相手に恨まれるような理由での離婚など、相手と遺恨を残しての離婚の場合、相手にその気がなかったとしても不安な気持ちを抱えて過ごすことになるでしょう。
離婚時には話し合いもできない関係であることも考えられますが、後回しにするほど問題も気持ちも複雑化することは明白です。
思うところはあるでしょうが、第三者を挟むなどして、しっかりと話し合いをすることをオススメします。

口約束で終わらせないために

離婚時に協議することなく別れてしまい、その後処理に追われるケースも多いですが、約束を交わしたのに守られないというケースもみられます。
信頼できる相手であるなら策を講じる必要はありませんが、一緒に暮らすことはできないと判断した方の場合、安心できないのではありませんか?
そこでおすすめしたいのは、”強制力”のある約束「公正証書」です。
どちらかが住み続ける場合は、「住宅の使用契約」として、お互いの希望や類似案件の例を参考に、使用条件を明確に作成します。
また、住宅ローンの完済後に売却をする場合や、その期間などを専門家を交え書類を作成。もし、約束が反故にされた場合は、給料の差し押さえなども可能で一般的な口約束の何倍もの威力があります。
利用するには、2人で公正役場を訪れて料金を支払う必要がありますが、その後の安心感には変えられません。
また、弁護士や行政書士に依頼して「事前求償権」を作成することで、不払い時の対処をすることも可能です。お互いの状態や希望を交えつつ、お互いが納得できる道を模索しましょう。

住宅ローンは離婚を想定していない

名義変更や返済方法など離婚した際には、住宅ローンの融通の効かなさに大きな戸惑いを感じる点も多いでしょう。
住宅を取得するためのペアローンは借入時や支払いについて深く考慮されているものの、離婚を想定して設計されていません。
そのため、想定外の対応が必要となり、希望に添った対応ができない場合もあるのです。

自分の持分だけ処分することも可能

話し合いが決裂し、オーバーローンで売却することもできない。
八方塞がりで、なんとか解決したいという場合は、自分の持ち分だけ売却するという方法がおすすめです。
この時のポイントは不動産業者の選定。不動産業者と一口にいっても得意分野は、それぞれ異なります。
持ち分だけ売却する場合、通常の住宅としての利用は見込めないため、プロへの売却が必須となります。こういった不動産を探している方は限られており、売却ルートが開拓されている専門の不動産業者に依頼しなければ売却は難しいでしょう。
近年はインターネットを通じて相談できる専門企業もあるため、検索していくつか見積もりを取ることをおすすめします。

離婚時のことも念頭に

住宅ローンは莫大な額の借金です。
人生はどんな展開になるか予想ができないため、申し込む前に最悪の事態も想定し、お互いに対策について話し合う時間を設けることをおすすめします。
「すでに取得済み」「もう離婚待ったなし」という場合には、話し合いをすることが大切ですが、感情的にならず漏れのない案を作成できるよう弁護士や公正役場などプロを頼ることが成功の秘訣です。

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