離婚した元夫が住宅ローンを滞納!財産分与を受けた共有名義の不動産を手放してローンを完済した方法とは!?

2019年08月05日(月)

■登場人物

Bさん: 専業主婦
夫: 自営業(建築業)
子ども: 2人(6歳/10歳)

これから離婚を機に不動産の財産分与をはじめる方は、住宅ローンの残債を考慮しながら協議することと、思うように不動産が売却できないケースもあるということを念頭に置いておいてください。離婚して財産分与をしたのはいいものの、住宅ローンが支払えなくなってしまうケースも多々あります。

今回の主人公Bさんは夫の浮気が原因で離婚し、自宅の財産分与を受けました。しかし、元夫が住宅ローンを滞納した結果、連帯債務者であるBさんに返済が重くのしかかることに。それから彼女が自宅を手放して住宅ローンを返済するまでのストーリーを見ていきながら、財産分与を受ける際の注意点を解説します。

■手遅れだった夫の浮気グセ。ついに離婚を決意

専業主婦のBさんは建設業を営む夫と、10歳と6歳になる子どもの4人で暮らしていました。子どもが産まれてから夫の名義でマイホームを購入。経営者の妻として、そして2児の母として、順中満帆な人生を送っていたかに見えたBさんに突如悲劇が襲いかかります。

実は夫には浮気グセがあり、自らが経営する会社で働いていた女性と不倫をし、子どもができてしまったのです。

もちろん、Bさんはこの事実を知ったときに怒り心頭。夫と離婚することを決意します。

■離婚後に備えて公正証書を作成

Bさんと夫は協議離婚をすることになりました。夫の不貞行為が原因で離婚をすることになり、専業主婦で収入がないまま2児を育てていかなければいけないBさん。法的な効力がある公正証書を作成し、以下のような条件を提示しました。

・子どもが成人するまで養育費を毎月2万円×2人分の支払い
・自宅の名義は妻に財産分与
・住宅ローンは元夫が支払い続ける

日本では自宅を財産分与して妻が住み続け、夫が住宅ローンを支払うというケースが多く、Bさんもその旨を公正証書に記して今まで住んできた自宅で子育てを続ける道を選択しました。

■耐えきれぬ元夫との生活にピリオド。自宅で家賃収入を得ることに

離婚が成立した後もしばらくは元夫との生活を続けていました。しかし、Bさんは不信感しかない夫との生活に耐えきれず実家へ引っ越すことに。なかなか条件が良い仕事が見つからず、十分な収入が得られる目処が立たなかったという状況もあり、自宅に住み続けることを諦め、賃貸物件として貸し出して家賃収入を得ながら生活していこうと決意しました。

その後、大手法人と社宅契約を結び、無事賃借人が入居。家賃収入を得られるようになりました。

■元夫から突然の連絡。告げられた事実に青ざめる

仕事をしながら家賃収入も得て、なんとか収入の目処が立ったBさん。安堵したその矢先、再び悲劇に見舞わられることとなります。

ある日、元夫から電話がありました。事業も低調で思ったように収入が得られなくなったとのこと。不倫相手と再婚し、生活費用を工面しなければいけない状況に加えて、公正証書で約束した住宅ローンと養育費の支払いもあって貯金が底を尽いたということを言ってきました。

元夫から住宅ローンが支払えていないという事実を告げられ、Bさんは呆れるとともに、全身の血の気が引いたそうです。夫婦関係を解消したとはいえ、元夫の連帯保証人という立場のBさんに、ローン滞納分の支払いが迫られることとなります。

このままローンが支払えなければ、債権者である金融機関は裁判所に申立てを起こされ、自宅が差し押さえられて競売の対象となってしまう事態に。自宅の所有権を失えば当然家賃収入も入ってきません。さらに、競売では市場相場を大幅に下回る価格で物件が売り飛ばされてしまうため、家を失って借金だけが残るというケースも少なくないのです。

元夫からの話を聞いたBさんの脳裏には「破産」の2文字が浮かびました。

■泣く泣く自宅の売却を決意する

元夫から突然告白されたローン滞納。そのときは青ざめたBさんですが、冷静になり住宅ローンを完済する方法を考えました。

残債は2,000万円。家賃収入で残ローンを支払い続けることも考えましたが、月々の返済額が家賃収入を上回るため断念。結局家を売ってローンを完済するという方法しか残されていませんでした。

今すぐ自宅を売却すれば残ローンを完済できると踏んだBさんは不動産仲介業者に査定を依頼し、土地と建物合わせて時価2,100万円という回答を得ました。ローンの残債が下回るという、いわゆるアンダーローンの状態であったため、自宅の売却を決意したのです。

■安心したもののつかの間。さらなる問題発生。Bさんが取った行動とは!?

自宅を売ってローンから開放されると思っていたBさん。売却手続きを開始してほっと安心していた矢先、さらなる問題が発生しました。

Bさんの自宅は賃借人付きの賃貸物件となっているため、市場調査をしたときよりも実際の売価が低くなる旨不動産会社の担当者から連絡を受けました。また、賃借人がいない状態でないと売却ができないことも告げられたのです。

自宅を当初の査定額で売却するためには賃借人に退去してもらう必要があるのですが、貸主に正当事由がない限り、賃貸契約の途中解除をすることは認められていません。賃借人の権利を守るため、法律でしっかりと定められています。もちろん、「住宅ローンの支払ができないから」という貸主の一方的な理由で賃借人を追い出すことは不可能です。

賃借人がいる状態であれば投資用物件として売却することになります。Bさんもその手段を考えましたが、そもそも利回りが良くないため、投資物件として売り出してもなかなか買い手がつかないと不動産会社の担当者から説明を受けました。運良く売却できたとしても、売却価格がローンの残債を下回るアンダーローンとなってしまうという算段。残債は減るものの、Bさんが住宅ローンの支払に苦しむという状況は目に見えていました。

結局Bさんは粘り強く賃借人の会社の社宅管理担当者を説得。なんとか賃借人に立ち退いてもらって、査定額の2,100万円で自宅を売却。金融機関に住宅ローンを完済しました。

自宅は失ってしまいましたが、正社員での就職も果たし、今は2人の子どもと仲睦まじく暮らしているBさん。綿密な調査と、冷静な判断で、破産を回避しました。

■まとめ

今回のケースのように、共有名義で残ローンがある場合は要注意です。Bさんにとって元夫は全く信頼できない人物であったことは歴然たる事実ですが、唯一の救いはローンが支払えなくなったときに連絡があったこと。もし、元夫が住宅ローンを滞納している事実をBさんが知らなかった場合、自宅が競売にかけられ、気づかぬうちに連帯債務者であるBさんは所有権を失い、ブラックリストに載ってしまったという事態も考えられます。

離婚前に不動産登記名義(所有者)と住宅ローン名義(債務者)を同一名義に変更するか、自宅を売却して住宅ローンを完済したうえで財産分与をすることで、円満に住宅ローンの問題が解決できます。

また、賃貸物件を売却する際にも注意が必要です。第三者の賃借人に自宅を貸し出している場合は、不動産の時価がどうしても下がってしまいます。賃借人に退去をしてもらうのは非常に困難で、法的手段を使って居座ることもできてしまう場合があるので、賃借人への対応は慎重に行う必要があります。

いずれにしても、離婚をする際には住宅ローンに関する問題を完全に解決し、仮に共有名義の家や土地を売却する際には専門家に相談することが重要です。

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