資金ショート寸前・離婚危機の訳あり夫婦。繰り広げられた攻防戦と解決策とは!?

2019年10月29日(火)

会社経営者の離婚問題は揉めやすく、話し合いも長期に渡るケースが非常に多いです。特に争点となるのは夫婦が築いた財産を分ける財産分与。夫婦の現況はもちろん、これまでどのような形で事業や家庭を営んできたかという点も加味して、なにを?どう分けるか?が協議されます。

また、経営者であるならば会社の今後も同時に考えていかなければいけません。特に資金繰りが苦しい状態だと離婚の話し合いと同時並行して資金調達に関しても進めていく必要があります。

今回は、資金ショート寸前にまで陥った会社経営者夫婦のストーリーをもとに、経営者ならではの財産分与の注意点や離婚時の資金繰りについて解説します。

ストーリー

【登場人物】

夫(56歳):地方にある従業員10名、設立3年目のビール醸造会社の社長
妻(52歳):専業主婦だが夫の会社の株を保有し、取締役として在籍

夫は大手ビールメーカー出身で、昨今のクラフトビールブームを受けて独立。醸造(製造)会社を3年前に立ち上げた。

妻は夫の会社の株を保有し取締役として在籍しているが、実質は専業主婦。2人の子どもは成人してすでに自立。親戚やご近所からは「夫婦円満」と評され、何不自由ない理想の夫婦と思われていた。

しかし、実情は世間のイメージとは180度異なったものだったのだ。ビール市場は大手が席捲状態にあったため、中小ビール醸造会社は事業撤退を余儀なくされている状態。夫の会社も例外ではなく、資金ショート寸前に。日々の資金繰りに追われるストレスから浮気。それが妻に発覚し、経営不振も相まって離婚調停へ。自分で蒔いた種とはいえ、夫には慰謝料問題と資金繰りという二つの大きな重荷がのしかかる。

冒頭でも述べたとおり、経営者が離婚する場合は一般の人よりも話し合いが揉めたり長引いたりしがち。特に問題となるのは以下の3つの点です。

  • Point1 慰謝料問題で財産分与の割合はどうなるのか?
  • Point2 会社名義の財産はどうなるのか?
  • Point3 資金繰りは解決できるのか?

順を追って、みていきたいと思います。

資金ショート寸前でお金がない夫。それでも財産分与を行うべきか?

業績が伸び悩んでいる会社の経営者である夫は自身の財産もほとんどない状態。自分の生活もままならない状況で、妻に財産分与する必要はあるのでしょうか?

<2分の1ルールとは?>

離婚するときには夫婦が築き上げた財産を2分の1ずつ分けるのが原則です。これを「2分の1ルール」と言います。

共働きであろうが、一方が専業主婦(主夫)であろうが、この原則は変わりません。そもそも、財産分与は夫婦が力を合わせて築き上げてきた共同財産を、離婚のときに精算して分配することを目的として行われます。

<例外もある?>

半分ずつ平等に財産が分配されるのが財産分与の原則ですが、すべてに2分の1ルールが適用されるわけではありません。

どちらか一方が特殊な才能や努力によって資産形成が行われた場合などはその典型例として挙げられます。たとえば、夫が有名なスポーツ選手や人気がある芸能人などである場合は、夫の能力や努力によって資産形成がなされたとみなされ、妻の分与割合が2分の1以下になることも考えられます。

他にも財産形成に固有資産が寄与している場合や、一方に浪費癖などの問題点があった場合、別居していた場合などの事情によって割合が変わることがあります。

<財産分与の割合の決め方>

2分の1ルールは法律で定められているわけではありません。あくまで原則なので、当事者同士の話し合いで決めることになります。ですから、必ずしも財産の2分の1に分ける必要はないのです。

折り合いがつかなければ家庭裁判所で離婚調停を申立て、財産分与請求を行います。そして、弁護士を立てて、裁判官が当事者同士の事情を鑑みながら割合を判断することになるのです。

妻が会社名義の財産分与を要求!夫は受け入れないといけないのか?

経営者が離婚をする場合、会社名義の財産をどうするかが争点になるケースもあります。今回の事例でも、妻は夫に会社の財産も分与するよう要求しました。

しかし、基本的に会社と経営者は全く別人格として扱われます。会社は「法人」、経営者は「自然人」。会社名義の財産は、あくまでその会社が所有するものであって、経営者個人のものではないのです。

ですから、原則として会社名義の財産は財産分与の対象にはなりません。

<注意!対象となる場合も>

ただし、会社名義の財産が分与の対象になるケースも少なからずあります。まず挙げられるのが法人と経営者がほぼ同一の状態であるというケースです。従業員が社長のみ、あるいは夫婦のみというように、規模が小さい会社の場合は会社と経営者が同一視されます。法人化していない自営業と同じような扱いです。会社の資産と経営者の個人資産が同じであるとみなされ、財産分与の対象となるかもしれません。

また、配偶者の貢献度合いも関係します。たとえば妻が夫の会社を長年手伝ってきたり、夫婦共同で会社を経営してきたりという実態がある場合です。この場合は共同で財産を築いてきたとみなされ、財産分与の対象となる可能性があります。

あきらめない妻。今度は株式の分与を要求

今回のケースでは創業して3年という短い期間であること、従業員が10名いて会社が経営者と別人格であると言えること、妻は取締役という立場ではあったが実態は専業主婦だったということで、会社名義の財産分与は認められませんでした。そこで、妻は次の手に。会社の株式の分与を要求してきたのです。

会社の株式の財産分与を要求された場合

経営する会社の株も財産分与の対象とある場合があります。しかし、株を分与してしまうと離婚した後も相手が会社の決定権を持っている状態となるので、後々の経営に影響を及ぼすことも考えられます。会社を私物化されたり、財産を食いつぶされたりということにもなりかねません。

配偶者が自分の経営している株を保有している場合は、その株を買い取ることで後々のトラブルを防ぐこともできます。

妻と会社との関係も精算する

株式を買い取ることにした夫は、取締役も解任し、会社と妻との関係を精算することにしました。しかし、一般的に配偶者が会社の役員や従業員となっている場合は注意が必要。簡単に追い出すことはできません。

① 役員の場合

会社の取締役には会社法330条で任期が定められていて、任期終了後に再任されなければ自動的に解任となります。また、株主総会の普通議決で過半数の賛成が得られれば、任期中であっても取締役の解任は可能です。

つまり、経営者が議決権の半数以上を有していれば、取締役になっている配偶者を解任することはできます。

② 従業員の場合

従業員は労働基準法によって権利が守られています。配偶者と言えども例外ではありません。客観的かつ合理的な解雇事由があり、かつ社会通念上相当と認められるものでなければ解雇は不可能。「離婚したからクビ」というわけにはいかないのです。

配偶者を従業員として雇用している場合は、そのまま働き続けてもらうか、話し合いをして自ら辞めてもらうかしかありません。

離婚問題解決後、手形で資金調達

財産分与を行い、妻との関係も解消した夫。離婚問題が解決した後は事業再生に全力を注ぎました。その甲斐あって大手ビールメーカーの下請けの話が舞い込んできました。銀行で融資を断られ続けた夫は「手形」を使って資金を調達。設備を増やして人も雇い、起死回生を図りました。

<手形の種類>

手形とは、現金を振り込む代わりに「期日までに現金を支払います」という約束が記された有価証券のこと。以下の2種類があります。

① 約束手形

手形の振出人(代金を支払う人)が受取人(代金の支払いを受ける人)に対して、特定の期日に代金を支払うことを約束する証券のことです。

② 為替手形

手形の振出人は受取人に対してサービスや商品の対価として手形を振り出し、支払いは引受人が行うというような、3者が取引に関わる際に発行される手形です。通常であれば引受人が振出人に売掛金を支払い、その後に振出人が受取人にお金を支払うという流れになるのですが、為替手形を使うことで、引受人が受取人に直接お金を支払うことができます。

<手形割引による即現金化で資金調達>

手形を金融機関や業者に売却して現金を調達することを手形割引と言います。手形で支払いを受ける場合は期日まで現金が手元に入りません。しかし、仮に1,000万円分の手形を手数料や金利を差し引いた900万円で売却すれば、目減りはしますが期日を待たずしてまとまった現金を調達することができるのです。

<その他の資金調達>

手形振替と似ていますが、ファクタリングという資金調達の手段も効果的。売掛債権を売却することで現金を得て、取引先から売掛金が入金されたら債権を売却したファクタリングに会社に売掛金を支払います。数週間~数カ月後に入る予定の売掛金を前倒しで得る方法です。銀行融資のように審査に落ちるリスクが低く、手形がなくても資金調達ができることから、最近人気が高まっています。

<詳しくはこちらへ>

創業当初に倒産危機!手形による資金繰りで起死回生

訳あり夫婦の結末とは?

手形譲渡によって事業が成功し、夫の会社は赤字企業からV字回復。今では順調に規模を拡大させています。妻は会社には残れなかったものの、財産分与を受けることができ、新たな人生をスタートしていると言います。

経営者夫婦が離婚すると、一般人とは違う視点で財産分与について考えなければいけないものです。他にも養育費や住宅ローンの残債など、考えるべきことはたくさんあります。ご自身が有利になるためにも、財産分与について正しい知識を身に着けておきましょう。

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