妻単独で住宅ローンを組み任意売却に至るきっかけとは?!

2019年04月12日(金)

離婚後は、それまでとは生活が一変しますが、特に大きく変化するのが不動産です。一緒に住み続けるという選択をすることは稀で、財産分与のため売却を希望するケースも多いですが、オーバーローンや相手が首を縦に振らないなど一筋縄ではいきません。離婚後に任意売却をせざる得なくなり、お困りの方もいらっしゃるでしょう。今回は、離婚後に住宅ローンが返済不能になった場合の任意売却の流れや、ポイント・注意点のアドバイスをお伝えします。

■新築戸建を建てたあとに

夫が自営業であったり、ブラックリストに載っている、審査に通るほど収入がないといった場合に、妻を名義人として住宅ローンを組むことが多いですね。まだ仲のいい時期であれば、収入が少なくてもローン以外の生活費を助けてもらえたり、家事を分担したりとローン返済を助けてくれることでしょう。

ですが、精神的に、金銭的にも頼れる相手だった夫との生活が破綻した場合、妻は1人で背負い込むことになってしまいます。離婚当初はそれほど実感がないかもしれませんが、戸建てを1人で維持するのは大変な労力と費用がかかります。日々の掃除はもちろん、修繕費の積み立てや固定資産税、夫がいなくなっても相変わらず高額な光熱費など負担は相当なものです。精神的にも辛く、少しのつまずきからローン滞納となってしまうケースも。

今回のAさんのケースも同様。看護師として資格もキャリアもあり、バリバリと働きながら、自営業の夫との間に生まれた長女との生活を楽しんでいました。夫は新築した自宅の一角でデザイン関係の仕事をしており、長女の送り迎えと家事全般を担当。病気で休園・早退の際の対応もスムーズで家事も滞りなく生活は快適で、Aさんは仕事に集中することができたのです。ですが、夫の浮気が発覚し、離婚を選択。長女と2人、財産として唯一残った住宅で再出発をすることを選択しました。

■返済不能で任意売却を決意

夫は経済的に支えてはくれなかったため、住宅ローンの返済について特に大きな問題はないと思っていたAさん。ですが、これまで通り長女を面倒みてくれる身内もおらず、家事もこなさなければなりません。そのため、夜勤は諦め残業のない部署に移動しましたが、給料は激減。また、環境の変化から長女が体調を崩す日も多くなりましたが、Aさんが対応しなければならず、職場にも居づらい雰囲気となってしまったのです。

使えるサービスは使おうと家事代行や、シッターなどを活用しましたが、金銭的に厳しくほとんど自分でこなさなければならないのが現状。つい、住宅ローンも滞納してしまい、督促状が送付されるところまできてしまいました。すぐに金融機関に相談に行けばよかったのですが、これ以上休むことはできず、何だか疲れてしまって「どうにでもなれ!」という気持ちもあり放置。ズルズルと時は過ぎ、ついに競売の通知が来て初めて「なんとかしなければ」という気持ちが湧いたそうです。

連帯保証人となっている元夫に丸投げするのもいいかなと思っていましたが、関わりを持つのは嫌という気持ちを原動力に動き始めました。まずは融資してもらった金融機関に出向きましたが、すでに債権回収会社に債権譲渡されているため対応はできないとのこと。

そこで、債権回収会社に掛け合い、競売からより残債を返済しやすい任意売却へ変更してもらえるよう粘り強く交渉しました。その結果、相手も事情を考慮し応じてくれることに。夢のマイホームでしたが、長女と2人で住むには広すぎ、維持するのも大変なことは明白。リースバックという方法で住み続けることもできましたが、こぢんまりとした賃貸に移ると選択したのです。

■債権譲渡とは

債権の内容はそのままに権利を第三者へ譲ることを「債権譲渡」といいます。住宅ローンの場合、債権持っていた金融機関が債権回収会社などの第三者へ譲渡することを意味し、抵当権も一緒に移るのが特徴です。毎月の引き落としができない状態が続いた場合、3ヶ月~6ヶ月ほどで一括返済を求められますが、多くの債務者は対応できません。そこで、債権者である金融機関が選ぶ道は2つ。

ケース・1

オーバーローンの場合、競売や任意売却で少しでも残債を回収し、残りの債権を債権回収会社へ譲渡する

ケース・2

一括返済ができないと見込まれた時点で、債権をそのまま回収会社へ譲渡する

債権者は変わっても、返済の義務がなくなることはありません。今後についてしっかりと話し合いをすることが大切です。債権回収会社は金融機関から大量の不良債権を引き受ける代わりに価格は額面よりも格安となっています。

そのため、残債の額を格安にしてくれる可能性もあり、一部の弁護士などは「良かったですね!」と回答することも!ですが、会社の方針や状況によっても変わるため、一概に吉報とはいえません。Aさんは残債が500万円ほどありましたが、50万円に減額。毎月2万円ずつ支払うことで決着が付きました。きちんと債権回収会社と話し合いをしたことが功を奏した幸運なケースといえるでしょう。

■住宅ローン返済不能の場合のポイント、注意点

住宅ローンの返済が不能になった場合、とにかく情報を遮断せず、きちんと向き合うことが大切です。特に、シングルマザーとして子育てをしている方には自治体からのサポートも豊富にあります。ですが、そのどれもが、ご自身で申請をしなければ得ることはできません。

市役所の窓口に相談に行き、サポートを要請しましょう。児童扶養手当がよく知られていますが、もっと頼りになるものも!中でも、誰もが知っておくべき頼りになる制度といえば「母子父子寡婦福祉資金貸付金制度」です。20歳未満の子供を扶養しているシングルの方が利用できる貸付制度であり、生活に必要な資金が工面できないという場合に無利子もしくは年利1%で貸付してくれます。

用途は多岐に渡り、生活を安定させ継続するための「生活資金」や、住宅の保全にも使える「住宅資金」、引越しのために必要な資金のための「転宅資金」などもあります。ほかにも、開業資金や事業継続資金、就学支援資金、医療介護資金、修業資金など多種多様な項目があることを知っておきましょう。

とはいえ、どれも対処のみであり、その場しのぎの方法です。根本的な解決にはならないため、妻単独で住宅ローンを組む場合は

・出産後に仕事が続けられない可能性がある
・離婚し、仕事をセーブしなければならない可能性がある
・現在の収入が減っても支払いができる額をシミュレーションする

といったことを踏まえ、慎重にローンを検討することをおすすめします。Aさんのケースもこれまで通りにバリバリ働くことができるよう誰かがサポートしてくれれば、任意整理することなく今でもあの家に住んでいたはずです。

離婚や出産によってこれまで通りにならなくなるケースは多くみられます。出産後に体調を崩す方や、子供に多くのサポートが必要など、その時にならなければ分からないことばかりです。もちろん、理想通り、それ以上に飛躍できる可能性も十分にありますが、現在の状況だけをみて住宅ローンを単独名義で契約するのはおすすめできません。ローンは借金ということを忘れず、堅実な計画を立てましょう。

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