個人再生で代位弁済のピンチから脱却!不動産業者も知らない抜け道とは

2019年01月13日(日)

住宅ローンを取り巻くルールは意外に複雑であり、特にトラブルが起きた際には知識量が結果を大きく左右します。頼りになるのはその道のプロですが、働いているすべての人がその道に精通している方や、誠実に対応する方ばかりではありません。
Yさんもそれを実感した方の1人です。気づかない間に代位弁済の請求がきており、あと一歩で家を失うというピンチを切り抜けるまでにいくつもの不動産業者を回りました。今回はYさんが出会った”普通の不動産業者があまり教えない方法”についてお伝えしていきます。

■偶然が重なりピンチが訪れた

Yさんは国際結婚し、奥さんと子供の3人暮らし。交通の便のいい文教地区に3500万円で一戸建てを購入し、住宅ローンは30年に設定し毎月10万円、ボーナス時には15万円を支払いますが、Yさん1人で問題なく返済できる範囲。ここまで15年間、何もトラブルが起きることなく平穏に生活していました。
ですが、いつも通り出勤したところ、くも膜下出血で倒れ病院へ搬送されてしまったのです。一命はとりとめたものの、4ヶ月の入院が必要となり、その間家に帰ることはできませんでした。Y家の家計はYさんが1人で管理しており奥さんはノータッチ、日常会話はできるものの、漢字の多い書類はチンプンカンプンです。入院している間、Yさんが管理できなかったことで、月々の引き落としがされず住宅ローンが滞っていることは知る由もありませんでした。
Yさんがようやく帰宅し、住宅ローンの支払いに気がついた時にはすでに5ヶ月分を滞納している状態。郵送されていた書類には、債権者はローンを融資した銀行ではなく保証会社に移っており、一括で返済するよう書かれていました。

■家を残すために方法とは

残債はおよそ1800万円であり、一括返済は難しいのが現状です。そのため、ほかの方法を模索するべく、プロの意見を聞こうと何軒もの不動産業者を回りましたが「一括返済もしくは競売の2択です」との返答しかありません。
納得がいかずもう1軒の不動産業者に相談をしたところようやく「ローンの巻き戻し」というワードがでてきました。借金を圧縮して返済の負担を減らす個人再生には、6ヶ月以内に申し立てを行うことで、住宅資金特別条項を活用して代位済前の状態に戻すことができると定められています。つまり、裁判所に認められれば滞納がなかったことになり、また銀行に返済する状態に戻ることができるということです。素晴らしい条件と膝を打ち、早速手続きを行うことにしましたが、その6ヶ月目は昨日だったのです。
残念ながらローンの巻き戻しには失敗してしまいましたが、その不動産業者が保証会社に掛け合い、任意売却にすることができました。競売では市場価格の7割ほどの価格でしか売却できませんが、任意売却なら市場価格と同等の価格で売却が可能。Yさんの家は2000万円と評価されており、残務も残らない計算です。

■ローンの巻き戻しとは

残念ながらあと一歩のところで間に合わず、悔しい思いをしましたが、これを期に奥さんの国へ移住することを決めたYさん。話は前からでていたそうで、「いいきっかけになった」とスッキリした様子でした。Yさんが間に合わなかった「ローンの巻き戻し」とは、民事再生法で定められたもので、住宅ローンの返済に困っている方を救済するための制度です。
上記のように債権者が保証会社から金融機関に戻るだけでなく、ほかにもメリットがあるのでみていきましょう。
・保証会社の保証債務が蘇る
・移転していた抵当権が金融機関に戻る
・団体信用生命保険が復活
など、完全に金融機関へ住宅ローンを返済していた状態に戻すことができます。
滞納分などは分割して3年の間で払うことが認められており、一括で払えないという場合にも心配いりません。
ですが、個人再生するということなので、
・官報に住所・氏名が掲載される
・ブラックリストに載る
といったデメリットも。また、借金をチャラにする自己破産と異なり、個人再生は返済していくため、返済能力がない場合には認められません。

■エキスパートを味方に付ける

今回のYさんのケースも最初に提案してくれた不動産業者に相談していれば家を手放すことなく、現在も生活していたことでしょう。不動産業界は特にルールが入り組んでいるため、少々の知識では対応できない案件も多くみられます。
ただの不動産業者ではなく、しっかりと知識を持ったエキスパートを味方に付けることが大きなポイント。家や土地など不動産を所有している方ならどなたも他人事ではありません。

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